純正カプセルはカプセル 1 個あたり 97 円から 120 円程度ですが、互換カプセルはピンキリで、安いものでは 1 個あたり 26 円~ というものもあります。互換カプセルをグループ分けすると、概ねこんな感じでしょうか。
激安カプセル
日本における「激安カプセル」の最大手は Caffitaly ブランドの商品でしょうか。Amazon.co.jp では 140 個が \4,999- で販売されていて、これは 1 個あたり 35.7 円ということになります。
Caffitaly というブランドは馴染みのないものですが、https://caffitaly-fujisangyo.com/ によると、Caffitaly 創業者の Sergio Zappella はかつてエスプレッソマシンメーカーの Saeco 社を創設した人物とのこと。
また最近では Don Carlos という謎なブランドの製品も激安界隈に殴り込みをかけてきていて、Amazon.co.jp で定期的に催されるセールの時期には 120 個で三千円台(1 個あたり 26 円~)という驚異的な価格で提供されていたりします。

このブランドも正体が謎だったのですが、どうやらヴィチェンツァに本拠を構える Caffè Carraro Spa という会社の製品とのこと。
激安カプセルには激安である理由が存在するのですが、実はちょっとした工夫で味わいを良くすることができます(詳細は後ほど)。
ちょい安カプセル
私が試した中では DolceVita や Rosso Caffè、と言ったあたりが該当するでしょうか。大体 1 個あたり 47 円から 53 円あたりのレンジです。製造元などについては良くわかりません(調べる前に箱を捨てちゃったので)。

低価格を実現するためのポイント
こういった「ちょい安カプセル」や「激安カプセル」がどのようにして低価格を実現しているのかは、「中間コストの削減」などを謳うものもありますが、実際には「プラスチックカプセル」と「ロブスタ種」の存在が大きいと考えられます。プラスチックカプセル
Nespresso の「純正カプセル」は気密性の高いアルミニウムで作られているため、カプセル内の湿度と風味を一定に保つことができる……とされています。ただコスト面では若干不利になるため、「激安カプセル」を中心にプラスチック製のものも少なくありません。一方で「ちょい安カプセル」は「アルミニウム製」を謳うものもあります。カプセルを純正カプセルと同様にアルミニウム製にすることで、プラスチック製カプセルよりも良い風味のものを提供する……という意図のようですが、プラスチック製カプセルにも必要十分な程度の気密性があるという説もあり、実のところそれほど大きな違いは無さそうな感じです。
ロブスタ種
「ロブスタ種」はコーヒー豆の種類で、日本国内で一般的に流通している「アラビカ種」と比べて単価がほぼ半額とされています。「ロブスタ」という名前は「堅牢」を意味する robust という語とルーツを同じくし、アラビカ種と比べると病気に強く栽培が容易(低コストで栽培可能)という特徴があります。一方、風味という面ではアラビカ種に劣るとされていて、「土のような味」「麦茶みたい」と言った風に感じる人もいます。私自身も(土を舐めたことは無いのですが)「土のような味」と感じることがありました。
つまり、カプセルの材質をアルミニウムからプラスチックに変えて、豆をアラビカ種からロブスタ種に変えるだけで、少なくとも「純正カプセル」の半額で提供することができる……と考えられます。
ブランド系カプセル
ちょっと巧い表現ができないのですが、コーヒーの世界で既にブランドを確立しているメーカーも Nespresso 互換カプセルを提供しています。illy や Lavazza、Kimbo などの有名メーカーのほか、日本国内でも店舗を展開している Segafredo Zanetti などが該当するでしょうか。だいたい 1 個あたり 60 円から 80 円あたりのレンジです。illy は自社でもカプセルタイプのエスプレッソマシンを販売しています(Nespresso 用カプセルと間違えないようにしましょう)。スロヴェニアとの国境にほど近いトリエステに本拠を構えるメーカーで、アラビカ種 100 % の商品が多いことが特徴です。

Lavazza はトリノの会社で、アラビカ種とロブスタ種を巧みにブレンドした商品群があります。個人的には互換カプセルの中ではもっとも高評価なのですが、やはりと言うべきかカプセル 1 個あたり 80 円をちょい超える程度のお値段です。

Kimbo はナポリのメーカーで、ロブスタ豆の配分がやや多いのが特徴でしょうか。そのためカプセル 1 個あたりの単価は illy や Lavazza よりも安いように見受けられます。

ロブスタ種は安いかわりに「土のような味」がする……などと散々 dis ってきたのですが、実は「味わいが力強い」というメリットもあります(そのため Kimbo は意図的にロブスタ種の配分を多くしているようです)。アラビカ種 100 % のブレンドよりも、適度にロブスタ種を配合したブレンドのほうが明らかに味の深みが増すんですよね。
そもそも本場のイタリアでは「エスプレッソをストレートであおる」というのは愚の骨頂で、がっつり砂糖を入れて味わうのが一般的です。ロブスタ種の本場であるベトナムではコンデンスミルクと合わせて飲む(ベトナムコーヒー)スタイルが一般的なので、ロブスタ種の力強い味わいを愉しむには砂糖が必須だと言うことなのでしょう。
その他(未分類)
まだ試したことが無いのですが、Mokapresso という謎ブランドが 1 個あたり 70 円前後で提供されています。Rosso Caffè や DolceVita と同レベルかと想像しているのですが、ちょいと値段が高いので、もしかしたらもうちょい良いレベルなのかもしれません。
激安カプセルで旨いコーヒーを飲むには
激安カプセルは「プラスチック製カプセル」と「ロブスタ種配合」がポイントですが(但し Don Carlos は「100 % アラビカ」を謳っているものもあります)、ロブスタ種特有の「土のような味」を取り除く良い方法があります。もっとも、これは「エスプレッソ」のアイデンティティを否定するものでもあるのですが(汗)、耐熱ガラスなどに抽出したエスプレッソを改めてペーパードリップすることで、「粉」をフィルタすることができるのですね。
ペーパードリップのすすめ
エスプレッソはペーパーを通す代わりに小さな穴の空いた金属フィルターで「粉」を防いでいるのですが、どうしても細かく挽いた「コーヒー粉」が穴を通り抜けてしまいます。ロブスタ種の「土のような味」は、実は金属フィルターをすり抜けた「粉」の味……なのかもしれません。実際に Nespresso で抽出されたエスプレッソをペーパードリップしてみると、結構な量のコーヒー粉がペーパーフィルターに付着します(面白いことに、純正カプセルでは付着する粉の量が明らかに少ないのですが)。
ただペーパードリップはエスプレッソの華とも言える「クレマ」も軒並み除去してしまうので、これをエスプレッソと呼んでいいのか……という自己矛盾に陥ります。でも「土のような味がする」よりは「旨いコーヒーが飲める」ほうが嬉しい……ですよね?
ドリッパーは(マニア受けの良い)HARIO の V60 を使用しています。エスプレッソには 1~4 杯サイズがちょうどいいです。

コーヒーフィルターは HARIO 純正のものでも十分安いので、純正がおすすめです。

抽出量の調整
あと、これは見逃しがちですが、Nespresso の抽出量にも注意すべきです。純正カプセルでは 40 cc が標準ですが、互換カプセルでは 30 cc 想定のものも少なくありません。ボタンをプッシュした際の抽出量はカスタマイズができるので、気持ち少なめに調整することで、よりエスプレッソらしい味わいを得ることができます。是非一度、騙されたと思って試してみてください。おことわり
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